藤田晋 〜IT、麻雀、スポーツ。数多のビジネスで成功を収める稀代の経営者〜

いまIT業界で最も注目されている社長といえば、サイバーエージェントの藤田晋氏でしょう。2020年、一時的とはいえ、世界有数の広告代理店・電通の時価総額を上回ったニュースは、大きな話題を呼びました。もともとはインターネット広告事業を中心に伸びてきましたが、その後に立ち上げたブログビジネスやソーシャルゲームでも圧倒的なプレゼンスを発揮。

メディア事業や数々の著書

現在はAbemaTVでメディア事業にも参入し、注目を集めています。著書に「仕事が麻雀で麻雀が仕事 (近代麻雀戦術シリーズ) 」(竹書房)、「起業家」(幻冬舎)、「藤田晋の成長論」(日経BP社)など多数。

早くものめり込めるものを失った幼少期〜学生時代

藤田氏は1973年、福井県鯰江市に生まれます。小学生の頃は国語が得意で、自分で小説を書くほどの文学少年。卒業文集に「将来は作家になりたい」と書くほど傾倒していたそうです。

様々な習い事にチャレンジ

その後、将棋、剣道、習字や百人一首など、さまざまな習い事や部活に熱中。百人一首を一日で全て暗記、将棋は福井県の大会で1位になるなど、めざましい実績を挙げてきました。

しかし、どんな世界でもすぐトップに立ててしまったからか、次第にその熱が冷めていってしまいます。また小学生時代に「作家になりたい」と思うほどのめり込んだ小説創作も、習い事や部活の忙しさから疎遠になり、この頃にはもう書かなくなっていました。

学校の勉強よりも〇〇にハマる

また「当時はほとんど人の話を聞かなかった」と藤田氏は語っています。小学校時代、授業中は他のことを考えてしまうので、自分で教科書を読んで勉強していたそうです。ですが、中学校に入るとそもそも勉強を全くやらなくなり、高校に入学してからは学校近くの友人宅で麻雀に明け暮れる日々を送ります。

「起業家になる」と決意する

そんな高校時代、藤田氏はミュージシャンになることを真剣に考えていましたが、すぐに「現実的な夢じゃない」と断念。やがて「大学を出て起業家なる」という夢に切り替えます。ちなみに起業家をめざしたのは、藤田氏曰く「華やかな職業に就きたいという気持ちがどこかにあった」ためだそうです。

こうして起業家をめざすと決めてからは一念発起。それまでの自堕落な生活とはきっぱり縁を切り、大学に入るために5ヵ月間集中して勉強。青山学院大学の経営学部へ進学します。

アルバイトと麻雀漬けの大学生活

青山学院大学時代は、ベンチャーの広告代理店でアルバイトとして働き出します。「アルバイトの合間に授業に出る生活だった」と後に語るくらい、仕事に打ち込む日々を過ごしていたそうです。同時に高校からはまった麻雀にも熱中し、雀荘で働いた経験も。起業家の夢を追う傍ら、一時は本気でプロ雀士をめざそうかと浮気心を持ったこともあったとか。

卒業後24歳で起業

その後、大学を卒業後は、現在の株式会社USEN-NEXT HOLDINGSの代表・宇野康秀氏が立ち上げた総合人材サービス会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア)へ就職。その後、数年で退職し、1998年に起業。24歳で株式会社サイバーエージェントを設立します。

ITバブルの寵児

その後、会社の売却を本気で検討するほどの危機に陥るなど、幾多の苦しい時期を乗り越えて、同社は成長。2000年、当時最年少となる26歳で東証マザーズ上場を果たします。ライブドア(当時)の堀江貴文氏、楽天の三木谷浩史氏とともに「ITバブルの寵児」とも呼ばれました。

様々なサービスを展開

その後も同社は順調に事業を拡大。ブログサービスのアメブロや、Cygamesをはじめとするソーシャル部門の成長、また未だ赤字事業ではあるものの順調にユーザー数を増やし続けるAbemaTVなど、その経営手腕は創業20年を超えた今も衰えることを知りません。現在は、株式会社サイバーエージェントの代表を務めつつ、株式会社AbemaTV、株式会社AbemaNewsの代表も兼務。また、JリーグのFC町田ゼルビアのオーナーという顔も持ち、スポーツビジネスにも乗り出しています。

金銭欲はそこまでない??

ちなみに、かつては多くの著名人との交友関係や、女優の奥菜恵さんとの結婚(翌年に離婚)など、浮世離れした一面も注目を集めましたが、現在はそうした華々しい生活に対する欲はまったくないようです。藤田氏は「もともと金銭への執着はそこまでなかった」と語っていますが、近年は個人資産に恵まれたことなどもあり、金銭欲が特に薄れたといいます。

ただ儲けを追求するのではない、チャレンジ精神にあふれつつも手堅く成長していく藤田氏の経営スタイルには、こうした変化も影響しているのかもしれません(ちなみに、2019年3月時点の藤田氏の総資産は1170億円。日本長者番付では42位)

麻雀の腕前もプロ並み

そんな藤田氏ですが、高校時代からハマった麻雀でも有名です。「ビジネスで大事なことの多くを麻雀で学んだ」と語るほど、彼のライフワークとなってきました。月に200~300半荘打ちこむ時期もあったといい、経営者となってからもAbemaTVでプロ団体の垣根を越えたリーグ戦を主催し、自ら出場して準優勝するなど、プロ顔負けの実力を発揮しています。

麻雀に向けられる藤田氏の熱意は会社経営に対するそれ並みで、プロと合宿をするなど成長に貪欲。また2018年には、競技麻雀のプロリーグである「Mリーグ」を設立し、自らが初代代表理事となるなど、業界の発展にも精力的に取り組んでいます。

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